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【アヤメの壺】

【 アヤメの壺 】


作者:花月姫梨


ジャンル:シリアス
人数:♀2



彩芽(あやめ)
娘。

朝子(あさこ)
母。



彩芽:
朝子:






彩芽「お母さん…。」

朝子「彩芽?」

彩芽「そうよ。久しぶり!」

朝子「彩芽…変わらないわねぇ。」

彩芽「そりゃそうよ。若作りは大事だからね。」

朝子「あなたは若作りしすぎよ。」

彩芽「そう、ね…あははは。あ、ねぇ、涼司は元気?」

朝子「えぇ、元気にしてるわよ。
    この前もね、彩芽の壺だってこんなに大きな壺作ってきてくれてね。
    もう、両手で持つのも大変だったのよ。
    でも、綺麗な菖蒲の花の絵があってねぇ、とても素敵なのよ。」

彩芽「へぇ…見てみたいなぁ…。きっと綺麗だろうなぁ…。」

朝子「今度に見せに行くわ。」

彩芽「でも大きくて持つの大変だったんでしょう?」

朝子「そうなのよねぇ…どうしましょう…。」

彩芽「あ、じゃあ写真はどう?それだったら重たくないし、私も見れるわよ。」

朝子「あら、それいいわね、そうするわ!今度のお盆休みに持っていくわね。」

彩芽「うん、楽しみにしてる。あ、涼司も来るよね?」

朝子「来ると思うわよ。あなたの事大好きだもの。」

彩芽「そう…。」

朝子「昔は変てこなお皿とか作ってたのにねぇ、今では立派な陶芸家になって…。」

彩芽「お父さんみたいな綺麗な壺を作るんだって、毎日頑張っていたから…。」

朝子「お父さんね、いつも厳しくしていたけど、お酒飲むといつも
    『あいつはまだまだだが、いつかいい陶芸家になれる』って言っていたのよ。」

彩芽「え、そうなの!?そんなの初めて知った…。」

朝子「お父さん、この話は墓まで持って逝くって言って…
    私に話したら意味がないでしょうに。」

彩芽「あははは!お父さんらしいね。
    どうせ私の時は才能ないって言ってたんでしょう?」

朝子「あら、よくわかったわねぇ。」

彩芽「厳しいなぁ…まぁ、その通りだったんだけど。」

朝子「でもね、お父さん、彩芽が初めて作ってくれた湯呑、
    実はこっそり使ってたのよ?」

彩芽「え、あの茶碗なのか湯呑なのか分からないやつ!?」

朝子「えぇ、あなたが寝てる時にいつも使っていたのよ。
    彩芽には内緒にしてくれって。」

彩芽「お父さん…。」

朝子「あんなお父さんだけど、お父さんなりに彩芽の事を大事に思ってたのよ。
    彩芽には幸せになって欲しい、いい嫁になるって。」

彩芽「もう…一度でもいいからちゃんと言って欲しかったなぁ…。」

朝子「うふふ。恥ずかしがり屋だからね、お父さん。」

彩芽「もしかして、私達の結婚式遅れて来てたけど…。」

朝子「あら、分かっちゃった?お父さん、一睡も出来ず、ずっと泣いていたのよ。」

彩芽「なんか、聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃうわ。
    もうちょっと素直になってくれればいいのに…。」

朝子「それがお父さんだから諦めなさい。」

彩芽「むー。」

朝子「今だから言うけど、あなたが生まれた時お父さん、
    嬉しさのあまりにキスしちゃったのよ?」

彩芽「え…一応聞くけど…どこに?」

朝子「お口に。」

彩芽「えええええ!!??ちょ、ファーストキスが実はお父さんとか…嫌だああ!!
    もう、ノーカン!ノーカンよ!」

朝子「彩芽の初めてが他の男だなんて許さん!なんて言ってね。」

彩芽「もう…。いい手土産になっちゃったじゃない…。」

朝子「うふふ。」

彩芽「…でも、大事にしてもらえてたんだって知れてよかったかな。
    お母さん…。」

朝子「なぁに?」

彩芽「親孝行も出来なくてごめんね…。」

朝子「彩芽…。」

彩芽「先に死んじゃって、ごめんね…。親不孝で…ごめんね…。」

朝子「そんな事ないわ!あなたが生まれてきてくれた事、元気に育って、
    幸せな笑顔で結婚式を挙げて…すごく嬉しかったわ。
    例え事故で先に絶ってしまっても、あなたが幸せに生きてくれていただけで、
    親孝行になっているのよ。」

彩芽「お母さん…。」

朝子「あなたの笑顔が、何よりもの親孝行になっていたの。
    だから、泣かないで?」

彩芽「違うの…違うの…お母さん…。」

朝子「彩芽…?」

彩芽「事故じゃ…事故じゃなかったの…。」

朝子「え?」

彩芽「私…私は…殺されたの!!」

朝子「殺されたって…誰に?」

彩芽「私の夫に…。」

朝子「嘘…涼司君が…?何で…何で涼司君が彩芽を…。
    あんなに愛しそうに壺をくれたのに…どうして…?」

彩芽「涼司は…涼司はね…本当は私の事が好きだったんじゃないの…。
    本当は…本当はお母さんの事が好きだったの…!!」

朝子「わ、私を…!?そんな素振りなんて…。」

彩芽「壺…。」

朝子「壺?」

彩芽「彩芽の花の壺…あれね、私なの。」

朝子「なに、言ってるの?」

彩芽「私の骨が使われているの。」

朝子「え…そんな…。そんな事…。」

彩芽「灰になった遺骨を練り込んで焼いたのが彩芽の壺。
    つまり私よ。
    愛しそうに壺を渡したのは、愛しいお母さんに私と言う壺を渡したから…。
    あの人は狂ってたの、叶わない恋に…。」

朝子「何てことなの…。じゃあ、何で彩芽を殺したの!?何で彩芽と結婚を…。」

彩芽「お母さんと繋がっていたいから私をお母さんの代わりにしたの。
    私を殺したのは…私が涼司がお母さんを好きなんだって知ってしまったから…。
    いつもお母さんとの話しを聞きたがっていて、
    最初は母親がいなかったからと思ってたの。
    でもね、だんだん可笑しいなって、お母さんの話をしている時の目が…
    とても愛おしそうに…私の昔話を聞いている時と全然違ってて…。
    あの日、思い切って聞いてみたの…お母さんの事が恋愛として好きなのかって…。
    そしたら…そしたら何て言ったと思う?」

朝子「な、なんて言ったの…?」

彩芽「朝子さんがずっと好きだった。お前は変わりなんだって…。
    それ聞いたら…私、もう涼司とは居られないって思って、離婚しようって。
    そしたら、お母さんとの繋がりがなくなるって…。
    気持ちが悪くなっちゃって、思わず涼司に向って
    『気持ちが悪い!触らないで!』って言っちゃったの。
    何か吹っ切れたのか、涼司が私を閉じ込めるって…
    病気って事にして私を殺すって…。
    私…怖くて家を飛び出して…暗い森の中を闇雲に走って、走って、走って…
    でも、女が男に敵うわけなくて…。
    崖に追い詰められて…腕を掴まれてそのまま…落とされて…。」

朝子「彩芽…ごめん…ごめんなさい…。私のせいで…こんな…。」

彩芽「お母さんは悪くないよ。
    ……狂っていても冷静だったんだろうね。
    普通に突き落としてたら“突き落とし痕”ってのが残るから、
    腕を掴んだけど助けれなかったって言ってさ…。見事に事件で解決。
    悔しいなぁ…せめて素直に捕まってくれてたら…。」

朝子「私、警察に言うわ…今の事全部離して涼司君を捕まえてもら」

彩芽「それはダメ!!」

朝子「ど、どうして…!?」

彩芽「そんな事したらお母さんが疑われちゃう!そしたら、そしたら私…!」

朝子「じゃあ、どうしたら…どうしたらいいの!?
    娘の死の真実を知っていて、今まで通りに過ごすなんてできないわ!」

彩芽「落ち着いてお母さん!落ち着いて聞いて欲しいの…。
    私、こうしてお母さんに会いに来たのは、別れが言えなかっただけじゃないの。
    涼司と言い争うのは予想できたから、こっそり録音してたの。
    それをお母さんに見つけてほしくって…。お母さんなら分かる場所に…。
    もう、時間がないから…!」

朝子「待って彩芽!!お願い、もうちょっとだけ…!」

彩芽「私ももっといたいよ!でも、もう夢は覚めちゃうの。
    どうか乗り越えて…お父さんのお母さんが幸せだったって、
    胸張って言えるぐらい私の分も生きて、生きて、会いに来て。」

朝子「彩芽…!彩芽、待って…!」

彩芽「お母さん、私を生んでくれてありがとう。
    私、お母さんとお父さんの子供で良かったよ。
    またね。」

朝子「彩芽!!」



朝子『夢から覚めた私の頬は濡れていた。
    事故じゃなくて殺された真実でじゃなくて、
    最後に“ありがとう”って言ってくれた。
    私達の子供で良かったって…。
    柄にもなくわんわんと泣いてる私に、お父さんも柄にもなく慌てて。
    事情を話したら疑うこともなく信じてくれてね。
    良くしてくれている警察の人とお父さんと一緒に台所の床下に
    ビデオカメラを見つけたわ。
    聞くのも辛かったけど、最後まで聞いたわ。最後の彩芽の声を…。
    あの後、涼司君は自白してくれて、今は医療刑務所にいるわ。
    彩芽…最後のメッセージありがとう。あなたは自慢の娘よ。
    …また来るわね。写真…置いていくわね。またね、彩芽。』



彩芽『(ガサゴソ…)…ちゃんと映ってるかな?
    えっと、お母さん、お父さん、結婚記念日おめでとう!
    面と向かって言うのは恥ずかしいので、ビデオでごめんね?
    えー、今年で結婚30周年おめでとうございます!
    素直になれないお父さんと、素直すぎなお母さんがどうして結婚したんだろうって、
    ずっと疑問に思っていたけど、そんなの気にならないぐらいに熱々な夫婦なので、
    熱々な2人の元に生まれてすごくすごーく感謝してます!
    これからも、幸せな夫婦生活を楽しんでください!
    そして、これからもよろしくお願いします!じゃあ…またねー!ばいばーい!』



【 アヤメの壺 完 】



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【裏声の練習したら命の危機に】


【 裏声の練習したら命の危機に 】

作者:花月姫梨


場所:道路、公園
人数:♂1 ♀1 両1



山田太郎 ♂
裏声が出なくて練習しながら歩いていたところ、命の危機に!

斎藤 ♀
山田の命の危機にさらした犯人。お嬢様らしい。

井口 両
田中の友達。(女ならサバサバ系?)

ナレ 両 (被り)
少しだけ。



山田太郎:
 斎藤  :
 井口  :
 ナレ   :






山田「この前さ、裏声の練習しながら散歩してたんだよ。」

井口「山田、裏声出せないもんな。」

山田「そしたらさ、後ろから刺されそうになったんだわさ。」

井口「ふーん…………は?」

山田「流石に死ぬかと思ったわ。」

井口「いやいやいや、ちょ、まって。
   今ここにいるって事は、無事だったんだろうけどさ!
   もうちょっと詳しく!!」

山田「あれは、暑い夏の日だった。」

――――――――――

山田「あー、あー、あーー…!(裏声出そうとしてる)
   うんがぁあ!何でうまく裏声出せないんだ?あー、あー…。」

斎藤「あなたが山田太郎ですね…?」

山田「あー?」

斎藤「死んでくださいましっ!!」

山田「んああーーーー!!??」(裏声が出た)

――――――――――

井口「…そんで裏声が出せたんだ…。」

山田「裏声が出せた快感と共に、心臓が止まるかと思ったよ。」

井口「そりゃあ、刺されたらワンチャン死ねるもんな…。」

山田「間一髪命は守れたんだけどさ…。前髪5cmぐらい逝ったよ。」

井口「前髪は犠牲となったのだ。」

山田「まぁ、切りに行くのめんどかったし、それはいいかなって。」

井口「いいのか…。」

山田「そんでさ、俺の前髪切ってくれた奴を見たら…。」

井口「くれたって…知り合いだったのか?」

山田「全く知らない美少女だった。」

井口「…は?」

――――――――――

山田「んああーーーー!!??」

斎藤「チッ!!殺し損ねましたわ。」

山田「あっぶねぇなぁ……って…めっちゃかわいい…。」

斎藤「そんなの当り前です。それよりも、私達の為に潔く死んでくださいまし。」

山田「いやいやいや、待て待て待て!!」

斎藤「待てませんわ。」

山田「いやホント待ってくれ!!俺にはあんたみたいな美人さんに
   刺される覚えがないしDTなんだけど!?」

斎藤「D、T…?DTとは何ですの?」

山田「え!?し、知らないの?」

斎藤「知りませんから聞いてますのよ?言わないなら、今すぐ刺しますわ。」

山田「言います!言います!えっと、あの!どどどど、童貞の略です!!」

斎藤「どどど…て…?」

山田「これも知らない!?えっと、その…い、如何わしい事を…。」

斎藤「如何わしい!?あの方に如何わしい事を…殺しますわ!」

山田「してない!!してないって事です!!それにあの方って誰の事かも知らないし!」

斎藤「白を切るつもりですの!?」

山田「白を切るも何も、せめて名前ぐらい教えてくれよ!」

斎藤「名前を聞くなら自分からが常識ですわ!
   まぁ、私は知っていますから別にいいですけど。
   私の名前は斎藤ですわ。言ったのですから死んでください。」

――――――――――

井口「はあ!?斎藤!?斎藤ってあの斎藤!?」

山田「どの斎藤か分からないけど、きっとその斎藤だよ。」

井口「えっ、えっ、めっちゃ混乱してるんだけど…!」

山田「勢いに押されて自己紹介しちゃったよ…。」

井口「混乱してるって言ってるのに続けんの!?
   まぁ、いいけどさ!!」

――――――――――

山田「おお俺の名前は山田太郎です!!
    じゃなくて、あの方って言っている人の名前を教えてください!」

斎藤「井口様ですわ!かっこよくて綺麗で…私の愛しのお方…。
   それを…私から奪ったのですわ!だから殺します!」

山田「井口!?井口ってあの井口!?だったらあんた勘違いしてるって!」

斎藤「勘違いですって?この期に及んで嘘を言って逃れようとしたって…!」

山田「この期に及んでも何も俺はあんたから井口を奪ってすらいないからな!?」

斎藤「奪って…ない…?」

山田「あいつとは友達なだけだし、ましてや付き合ったりとかそういう関係に
   なったことないし、なろうとも思ってないから安心してくれ!
   そしてその突き指してるナイフをしまってくれぇ!!」

斎藤「奪ってない…奪ってない…奪ってない…!!
   という事は、私と井口様は…!つまりはそういう事ですわね!?」

山田「つまりどういう事かは分からないけど、そういう事だと思う!うん、たぶん!!」

斎藤「良かったですわ…!良かったですわ!」
   (嬉しさで山田の手を掴んでジャンプしている。)

山田「え、あ、手…!繋いで…!」

斎藤「あらやだ、私ったら!
   井口様がいるっていいるのに他の方と手を繋いでしまったわ!」
   (山田の手を放り投げる様に離す)

山田「痛っ!!」

斎藤「ありがとうございますわ、またお会いしましょう!」

――――――――――

山田「そうして今の俺はここにいます。めでたしめでたし。」

井口「ちょっとまって!?そもそも、斎藤と付き合ってる覚えないんだけど!?」

山田「そうなのか?」

井口「斎藤はただの後輩ってだけで告白された覚えもないよ!?」

山田「まぁ、でも、これから付き合うかもしれないし。」

井口「さっきの聞いてて付き合いたいって思う人、中々いないと思うけどね?」

山田「もしかしたらそういう未来があるかもしれないし。」

井口「ねぇ、何でそんなに押すの?」

山田「いや、だってさ。呼んじゃってるからさ。」

井口「へ?い、一応聞くけど…誰を…?」

山田「斎藤さん。」

井口「……あー、用事思い出したから返るわー…。」

斎藤「井口様ぁ!!!」

井口「ヒィィ!!」

斎藤「お待たせしましたわ井口様!」

井口「君を待ってた覚えないんだけど…!」

斎藤「え?」

山田「すまんな、井口にはサプライズとして言ってなかったんだ。」

斎藤「なんだぁ、そうだったんですね!驚いてくださってとても嬉しいですわ!」

井口「色んなことに驚かされたけどね!?おい、山田ぁ…!」

山田「すまんな、山田太郎の未来のためだ。」

井口「ふざけんなぁ!!」

斎藤「では、参りましょう、井口様!」

山田「幸せにな…。こうして俺たちの物語は、めでたしめでたs…。」

井口「めでたくねぇよ!!一回死ねぇ!!」(その辺の缶を蹴る)

山田「ぐふっ!」



ナレ「―――続きまして、昨日未明、D県T市の公園で友人と缶蹴りで遊んでいた
   男性1名が、缶が頭に当たり、意識不明の重体になると言う事故が置きましたが、
   その後、意識が回復しました。警察は詳しい事情を聞くと共に―――。」





【 裏声の練習したら命の危機に 缶 】



【はっぴーParty ~愉快な森の仲間たち~】

【 はっぴーParty ~愉快な森の仲間たち~ 】


作者:花月姫梨


場所:森や村
人数比:♂2 ♀5




マリア ♀
 赤ずきんちゃんの子孫(猫)。無口だけどいい子。ロリ。
 セリフ:19+1(+は全員でのとこ)

魔女 ♀
 魔女(猫)。森の奥に住むおばぁ…お姉さん。姿が若かったり。
 セリフ:19+1

スーミン ♀
 白雪姫の子孫。りんご大好きで早く大人になりたい女の子。
 セリフ:19+1

ポリトラ ♀
シンデレラの子孫。美青年と思われがちだが、歴とした女。
 セリフ:18+1

メーテル ♀
 ヘンゼルとグレーテルの子孫。お兄ちゃん大好きっ子。好きな子ほどいじめちゃう♪
 セリフ:22+1

マール ♂
オオカミ弟。爽やかでいい人そうだけど、ナンパばかりしてる残念イケメン。
 セリフ:20+1

ガドール ♂
オオカミ兄。クールで無口だけど、それがいいとモテる。子供が苦手。
 セリフ:21+1


(被り)
ストーカー ♀ セリフ:1



メーテル兄…今回の誕生日の主役。名前、セリフなし。

『』…思い出しセリフ
()…心の声。その場の状況説明。



※ 友人のお誕生日のお祝いボイスドラマ用に作られたのを改変した台本なので、
   SEなど、細かい表現を書き込んであります。
   また、この台本はお相手が男性用になっていますので、お相手がいる場合ご注意を。



マリア  :
魔女   :
スーミン :
ポリトラ :
メーテル :
マール  :
ガドール :

ストーカー:





マール「ねぇねぇ、そこの可愛らしい赤ずきんちゃん、僕とお茶しない?」

 ( すたすたと顔も見ずに速足で歩くマリア。 )

マール「え、ちょっとまってよ、ねぇねぇ。どこ行くの?」

マリア「おばあちゃんのお家。」

マール「おばあちゃんのお見舞いか何かかな?
     あ、僕ね綺麗なお花の咲いている喫茶店知ってるんだ。
     お花をおばあちゃんにプレゼントしたら元気になるかもよ?」

マリア「……。(確かに、おばあちゃんはお花が好きだわ。お土産にいいかも…)
    そうね、お花を摘みに行くだけならいいわ。」

マール「じゃあ行こうか、赤ずきんちゃん。」

マリア「赤ずきんじゃないわよ、マリアよ。
     いくら私の一族が頭巾被ってるからってそんな風に呼ばないで。」

マール「ごめんごめん、マリアちゃんね!マリ…アちゃ……。
     (あれ?頭巾を被る一族で、マリアって名前…。も、もしかして(冷や汗))」

マリア「どうしたの、オオカミさん?」

マール「マ、マリアちゃんってもしかして…。にゃんこ一族のお姫様…?」

マリア「そうだけど…、なに?」

マール「(あ、やっべぇー俺死んだなー。) な、何でもないよあはははは…。」

マリア「あ、お花畑見えた。ありがとう、オオカミさん。
     おばあちゃんにいいお土産ができたわ。そういえば名前…。」

マール「じゃあ、僕は用事を思い出したから…!」(急いで爽やかに逃げる。)

マリア「……変な人…。」


 ( お花摘み中。。。お花摘み中。。。おばあちゃんの家に着く。 )


SE:コンコン…(ノック)


マリア「こんにちは、おばあちゃん。」

魔女 「あら、入っていらっしゃい。」(おばあちゃんなのに若い声。)


SE:ガチャ…。バタン…。(ドア開けて閉める。)


魔女 「久しぶりね、マリアちゃん。元気だった?」

マリア「元気じゃなかったら来れないわ。」

魔女 「うふふ、それもそうね。」

マリア「はい、これ。ついでにお花も。」

魔女 「あら、ありがとね~。あ、このお花丁度欲しかったのよ~!スーミンちゃんこれ好きだから。」

スーミン『りんごの味のがいいなぁ!!あと、りんごのポプリ欲しい!
      あとあとりんごイメージの服も!』

魔女 「んふふ、ちょっとまっててね~、今最後の仕上げしちゃうから♪
     えーと、この花とこの花の花びらをパラパラっと…。」


SE:ボフンッ!(大釜から煙が上がる音。)


魔女 「さぁ、できたわよ~。これを小瓶に入れて…。
     はい、これを雪ちゃんのとこに持ってってあげて?それとこのカゴも。」

マリア「これ、どんな効果があるの?」

スーミン『がる君子供苦手だから、僕早く大人になりたいんだ!!』

魔女 「うふふ♪それはお・た・の・し・み♪」

マリア「じゃあ楽しみにしてる。(失敗じゃなければいいのだけれど…。) 行ってきます。」


SE:ガチャ…。(開け)


魔女 「いってらっしゃい、気を付けるのよ~。
     あ、それと、ドアのノックは3回だからね~2回はおトイレよ~。
     あと、寄り道しちゃだめよ~オオカミにも…。」(フェイドアウト)

マリア「はぁ…。」


SE:バタン…。(閉め)


魔女 「……。(マリアちゃんからオオカミの匂いがしたわね…。)
     後でみっちりお仕置きしないとね、マールちゃん?」


 ( オオカミの家へ場面転換。 )


マール「(ゾクッ)……い、今嫌な予感が…。」

ガドール「なんだ、また他の奴の女にでも手を出したか?
      この前お前がいない時に怒鳴りこんできたやつがいたぞ。
      まぁ、隣村の女の写真見せたら飛び出してったけど。」

マール「ありがとう、兄さん!いやー、兄さんにはお世話になりっぱなしだよ。」

ガドール「俺は迷惑かけられっぱなしだがな。」


SE:コンコンコン…。


マール「はいはーい、今出ますよっと(ガチャ。)
     ……わぁ、どうしたのポリトラ…そんな怖い顔して…。」

ポリトラ「ガドールいるかぁ???(怒)」

マール「え?いるけど…あ、ちょっと…!」

ポリトラ「入るなー。」

マール「入ってから言わないでよ…。」

ポリトラ「ガドールうううう!!!貴様また変な奴押しつけやがったなあああ!!」

ガドール「なんのことだ?」

ポリトラ「おま、どうせマールがそそのかした女を俺に押し付けただろ!」

ガドール「そうだが?」

ポリトラ「そうだが?って…お前らのせいであの女に嫌がらせされてるんだけど!?」

ガドール「へー、今度はどんな?」

ポリトラ「毎日黒電は鳴るし、ポストには呪いの手紙があふれるほど入ってるし、
      何もない日があるかと思ったら、お向かいの店に買い物を5分もかかってないのに
      家に帰ったら知らない女がいるし!」

マール「うっわぁ…。絶対それ1人の仕業じゃないよね…。
     てか、怒鳴り込んできたの女だったんだ…。」

ガドール「だから女装してんのか?」

ジェーン「俺は女だ!!これは来る途中にストーカーから逃げてたら
      あばあちゃんが水と灰を間違えて巻いてたところを運悪く通りかかって、
      灰まみれになった俺にお風呂を貸してくれただけじゃなく、
      死んだ孫に着せてやりたかったんだって、涙ながらにこの服着せてくれたんだよ!(泣)」

マール「それで珍しく可愛いドレスを着てるんだね…。似合ってるよ。」

ポリトラ「う、うっせぇ!!/// 褒めたって許さないからな!!どうにかしろよ!!」

ガドール「女って言えば解決するんじゃないか?」

ポリトラ「じゃあガドールが言って来いよ!コイツより信用できるだろうし!」

マール「ひどっ!」

ガドール「……はぁ…。」


SE:パタン…ドゴッ。(読んでいた本を閉じて置く音。)
   ガチャ(ドア開ける)


ガドール「終わったらそのままスーミンのとこ行くからな。お前らはそのまま向かえ。」


SE:パタン(ドア閉める)


ポリトラ「俺、この格好で…?」

マール「似合ってるし、みんなを驚かせてやろうw」

ポリトラ「お世辞はいいっつうの…///」


 ( ストーカーへの説得を終えたガドールは村から森へ向かう途中。 )


ガドール「はぁ…疲れた…。甲高い声がまだ耳に残ってるし…。」

魔女 「もし、そこのお方。この焼きたてのアップルパイはいらんかね?」

スーミン『りんご!!りんご食べたい!!アップルパイ食べたい!!』

ガドール「あー、アイツ甘い物好きだったな…。土産に買うか。2つくれ。」

スーミン『やったぁ!!がる君大好き!!アップルパイ大好き!』

魔女 「毎度ありがとうございました。喜ばれるといいですねぇ。お気をつけて…。」

ガドール「あまったる……。さっさと行くか…。」


( スーミンとメーテル達が住んでいる家に到着。 )


スーミン「美味しいお菓子を作ろ~♪
      りんごの丸焼きに、りんごクッキーに最後にはアップルパイを作っちゃお~♪」
     (適当に歌って下さい。)


SE:コンコンコン…。


スーミン「はーい!誰ですかー?ここはスーミンさん達のお家ですよーっと♪」

ガドール「俺。」

スーミン「ガドール君!?(ガチャ)わー!いらっしゃーい!」

メーテル「あら、ガドール君じゃないの。やっほー!」

マリア「こんにちは。」

ガドール「マリアもいたのか…。(ガキが多いな…。)」

メーテル「今ガキが多いなって思ったでしょ!?俺はガキじゃないんだからね!」

スーミン「僕もガキじゃないよ!!もう少ししたら大きくなるんだから!!」

ガドール「はいはい。ほら、土産だ。」

スーミン「なになに!?りんご!?」

メーテル「くんくん…いい匂い!」

スーミン「くんくんくん…りんごの匂い…、これはアップルパイだ!!」

ガドール「ご名答。」

スーミン「わーい!食べていい!?ねぇねぇ、ガドール君食べていい!?」

メーテル「いっぱいあるしいいんじゃないかな?」

スーミン「ぱくっ!もぐもぐもぐ…美味しー!」

マリア「すごく美味しそうに食べるね。(見てるだけでお腹いっぱいになりそう…。)」

スーミン「うへへー、ガドール君がくれたアップルパイすっごく美味しい~♪」

メーテル「どれどれ、俺も…。」

スーミン「…ん?あれ?」

メーテル「どうしたのスーミンちゃ…。」


SE:バタン(倒れる音。)


メーテル「スーミンちゃん!?ちょっと起きて!!」

スーミン「うっ…ぐっ…。」


SE:ガンガンガンガンッ!(メーテルが揺さぶってスーミンが頭打ってる音。)


ガドール「お、おい…馬鹿になったら困るからやめろ…。」

メーテル「じゃああんたにする!!スーミンちゃんに何したの!?」

ガドール「なんもしてねぇって!!やめろくんな!」

マリア「王子様のキス…。」

メーテル「なるほど!!その手があった!」

ガドール「何の根拠もないのにできねぇよ!」

メーテル「つべこべ言わずにやればいいのよ!魔女をかまどに突き飛ばす勢いでーっ……
      そぉーーーーれっ!!」 (ガドールをスーミンに向かって突き飛ばす。)

ガドール「やめろっ…ぐっ!」(頭をぶつける)

スーミン「んー?んがっ!」(丁度起きたところにガドールの頭と頭がぶつかる。)

メーテル「あ…。もしかしてやっちゃった…?」

マリア「うん。2人とも気絶。」

メーテル「あはははは…。ごめんなさい!!って、ああああああどうしよう!!」
      これからパーティーなのに!!手伝ってくれる2人が伸びちゃった!!」

魔女 「おやおや、お困りのようだねぇ。」

メーテル「その声は…魔女!」

マリア「おばあちゃん。」

魔女 「外ではおばあちゃんはやめなさいって、あれほど言ってるでしょ?」

メーテル「うっわ、おばあちゃんが若返った!!」

魔女 「さて、この様子だとパーティーの準備は間に合わないんじゃないかしら?
     もうすぐ、睡眠薬飲ませてバレそうになったからって、忘れろ忘れろって言いながら
     往復ビンタさせて気絶させられたお兄さんも起きてしまうよ?」

メーテル「うっ…。ど、どうしよう…。」

魔女 「そんなあなたに、助っ人登場!」

メーテル「1人増えたって…。」


SE:コンコンコン…。


魔女 「どうぞー!」


SE:ガチャ。(開け)


マール「はーい、呼ばれて飛び出てなんとやら。
     うわぁ…何この悲惨なパーティー会場…。」

メーテル「マール君!!救世主!!って、後ろの綺麗な女性は新しい彼女?」

ポリトラ「絶対違う!!!俺だよ、俺!」

メーテル「オレオレ詐欺?」

ポリトラ「ちっがあう!!ポリトラだって!!」

メーテル「あぁ…。あ、ポリ袋買うの忘れてた。って、まじで?」

ポリトラ「マジマジ!!あと俺の名前でポリ袋連想するのやめて!!」

メーテル「めっさ美人やん、何、魔法使いにでもあった?」

ポリトラ「あ、ありがと…///まぁ…そんなもん…。」

メーテル「さぁ、みんな、時間がないから手伝って~!
      あ~、そこのリア充は邪魔だから…そうね、この棺の模型を大きくして~…
      2人とも入れちゃえ♪」

マリア「おば…お姉さんの小瓶落ちてる…空だわ。片付けないと…。あ、朝のオオカミさん。」

マール「やぁ、さっきぶりだね、赤ずきんちゃん。」

ポリトラ「こんなに小さな子にまで…。」

マリア「マールちゃ~ん後でいらっしゃいね~♪」

マール「は、はい…。」


 ( 片付けなう。。。片付けなう。。。 )


メーテル「な、何とか間に合った!!!みんなありがとー!」

ガドール「…ん?なんか騒がし…。いってぇ…。」

スーミン「ハッ!!アップルパイ!!」

ポリトラ「起きた一言がアップルパイってw」

スーミン「いったああああ!!!頭痛いいいいい!!
      うわあああ!!何で僕ガドール君と一緒に寝てるの!!??わあああ!!」

魔女 「さて、リア充も起きたことだし…。今回の主役を呼んでらっしゃいな。」

スーミン「あれ?なんかパーティー出来上がってる!!」

ポリトラ「2人ともこっちおいでー!ほら、急いで急いで!」

メーテル「はーい!……おーきーてー!!(パシンッパシンッ!と頬叩く)
      あ、起きた!!とりあえず、何も言わずに、いいよって言うまで目をつむってね!!
      じゃないと昨日の朝の出来事ばらしちゃうんだから!
      じゃあ、ここにいてねー。 (みんなの所に移動)
      ………はい、じゃあ目を開けていいよ!せーのっ!」



全員「お誕生日おめでとう!」 (誰か一人でも、最後に名前を入れてもおk)




メーテル「おまけ!」


魔女 「さぁて、じっくりお話し聞きましょうか?」

マール「ホントごめんなさい!すみません!知らなかったんです!何でもしますからぁ!」

魔女 「ん?今何でもって…。」

マール「あ、言葉のあやで…。か、軽いのでお願いします…!」

マリア「どんまい。うふふっ。(女装かしら?それとも…うふ腐。)」


ガドール「おまえ…食べ過ぎ…。」

スーミン「ふぁってふぁって!…ごっくんっ。アップルパイ美味しいんだもん!!」


メーテル「あ、お兄ちゃん!何で俺が作った料理食べてくれないの!?
      魔女に負けないくらいのお菓子の家作ったのに!!」


ポリトラ「いやー、こんな女の子らしい格好とかあんましなかったからどうなるかと思ったけど…
     たまにはこういうのもいいな…。
     このままならストーカーにも悩まさせることもないのかな…。」

ストーカー「うふふ、みーつけた!」

ポリトラ「うわあああああああああああ!!!」


メーテル「楽しい楽しいパーティーでした!おしまい!」



【 はっぴーParty ~愉快な森の仲間たち~  おわり 】




お誕生日ボイスドラマのURLです。
イメージの参考にどうぞ。

URL : http://koebu.com/koe/bf950630979c980089fcd5dfed31fa05b8bbb936


【夕暮れマリー】

【 夕暮れマリー 】

作者:花月姫梨


ジャンル:シリアス、ファンタジー
場所:学校
男女比:1:1



風間正仁-かざままさひと-♂ 17歳
 平凡なありきたりな人生を送っていた高校生。

少女
 セミロングの黒髪の謎の美少女。


『』…ナレーション風。



正仁:
少女:





正仁『 いつもの様に学校の屋上への階段を上る。
     こつん、こつん、っと鳴り響かせて、風でギシギシと鳴る錆びた階段を上っていく。
     学校の屋上と言っても、人気のない旧校舎の非常階段から僕は向かっている。
     靴が鳴らす音が好きだ、風が騒ぐ音が好きだ、錆びた階段の奏でる音が好きだ。
     一歩、また一歩、ゆっくりと刻み付ける様に上っていく。
     もう、この音達とはお別れなのだから…。
     僕は今日、―――――。 』
 
少女「この世界にさようなら。」

正仁「え?」

正仁『 扉を開けた瞬間に聞こえた綺麗な声から発せられた言葉が僕の心とリンクしていたから、
     まぶしい夕焼けからつぶっていた瞼を開いた瞬間に見た少女に魅入ったのか、
     思わず僕の心がドクンッとときめいた。
     肩にかかるくらいの黒髪が風に凪ぎながら少女が僕の方に振り向く。
     一瞬、真っ白な翼があるように見えた。 』

正仁「……天使?」

少女「いらっしゃい。」

正仁「へ?」

正仁『 まるでここが自分の物かの様に堂々と僕を見て微笑む彼女。
     その瞬間、時が止まった様に感じたのは気のせいだろうか…。 』

少女「いつまでそこに立っているの?こっちに来ればいいのに。」

正仁「あ、はい!………えーと、君は何でここに?」

少女「何で?」

正仁「あ、えっと、ここってボロボロだから人来ないし…。」

少女「でも人来たわ。」

正仁「え?た、確かに僕が来たけど…!」

少女「人が来るんだから別にいいでしょ?」

正仁「そ、そうだけど…えっと、今日はできれば1人になりたくて…。」

少女「なぜ?」

正仁「えっと、それは……。」

少女「死ぬから?」

正仁「え!?ち、違うよ!!そんな分けないじゃんかーアハハハハ…。」

少女「嘘つかなくてもいいよ。別に止めないし。てか、止めれない。」

正仁「あはは…。それはそれで傷つくよ…。僕には止めてくれる人がいないって言われて…。」

少女「別にいんじゃない?死ぬんでしょ?」

正仁「そ、うだね…。」

少女「認めた。」

正仁「あはは…、なんだか君には隠し事ができない気がして…。」

少女「なにそれ。」

正仁「分からない。」

少女「変なの。」

正仁「目の前で自殺する人を止めない君も十分変だと思うよ?」

少女「そうかしら?」

正仁「普通の人は止めると思うよ?」

少女「じゃあ、あなたを追い詰めた人達は普通じゃないわね。」

正仁「……そうだね。」

少女「………そもそも普通って何なのかしらね。」

正仁「んー……、みんながやっていること?」

少女「みんながみんな一緒ってわけじゃないのに?」

正仁「んーーー、そう考えると…。」

少女「普通だなんて勝手に人間が決め事の様に付けた言葉よ。」

正仁「そう言われると……そうかもしれないね…。」

少女「個性があるくせに普通だなんて決まりを作って、傷つく人もいて。
    いったい人間は何がしたいのかしらね?」

正仁「……さぁ?僕達人間ですら分からないことだと思う。
    むしろ、人間だから分からないのかもしれない。
    相手の心なんて分からないし。知ろうともしないし。」

少女「知ったところで、彼らは変わると思う?」

正仁「………たぶん変わらないかな。自分が一番な奴らだし。」

少女「きっとあなたが死んだところで、彼らはあなたの事なんて気にも留めないでしょうね。」

正仁「はっきり言われるとつらいなぁ…。」

少女「でもそうなんでしょ。」

正仁「…うん。」

少女「仕返ししようとか思わなかったの?」

正仁「僕にそんな勇気なんてないよ。」

少女「死ぬ勇気はあるくせにね。」

正仁「なんか、疲れちゃったからさ…。もういいかなって…。」

少女「死ぬ前に仕返ししたればよかったのに。」

正仁「何でだろう…。そうしようって思わなかったんだ。
    少しでも気にかけてくれるんじゃって思ってるのかな…無意識に…。」

少女「あなたは人間らしくて人間らしくないのね。」

正仁「それいったいどっちなんですか…?」

少女「どっちも。」

正仁「……はぁ…。」

少女「好きな人はいた?」

正仁「え?あ、うん…。いたよ。」

少女「どんな子?」

正仁「こんな僕でも、笑顔で話しかけてくれたんだ。」

少女「そんな理由?」

正仁「僕嫌われ者だから…。それなのに普通に話しかけてくれて…。
    すごく嬉しかったんだ。」

少女「ふーん。」

正仁「君から聞いてきたくせに興味なさそうだね…。」

少女「うん。だって普通すぎるんだもの。」

正仁「そうかな…。少なくても僕にとって彼女は特別だよ。」

少女「そう。…可愛い?」

正仁「うん。優しくて、明るくて…みんなのアイドルみたいな…。」

少女「あの子みたいな?」

正仁「え?」

少女「ほら、あっちの校舎の廊下に見える子。」

正仁「えーと……あ!そう!そうだよ!何でわかったの!?」

少女「なんとなく。あ、ほら、彼女こっち見たよ。」

正仁「え!?あ、ホントだ…!えっと、手を振ってみてもいいかな…?」

少女「やってみればいいじゃん。」

正仁「えっと…振ってみよう…!………あ…。」

少女「あーあ。タイミング悪かったね。
    まぁ、お友達が来ても来なくても結果は変わんないね。」

正仁「わ、分からないじゃないか!もしかしたら、返してもらえたかもしれないし…!」

少女「もう二度とチャンスないのに?」

正仁「うっ……。」

少女「未練たらたらじゃないの。」

正仁「だって…。もう耐えられないし…。」

少女「何で逃げなかったの?」

正仁「逃げたよ!でも、いつも見つかってしまうんだ!
    何回やっても、何回やってもっ!
    まるで監視されてる様に!!!」

少女「怖いねー。何で見つかるんだろうね?」

正仁「そんなの知らないよ!僕だって知りたい!!」

少女「君は自分から知ろうとした?」

正仁「して、ない…。だって、アイツ等に何されるかわかんないし…。怖いんだよ!!」

少女「死ぬ前に知ろうとしなかったの?」

正仁「どうせ死ぬんだし、知ったって…。」

少女「教えてあげようか?」

正仁「え?」

少女「だから、教えてあげようか?」

正仁「知ってるの!?何で…!?」

少女「知りたいの?知りたくないの?」

正仁「もちろん知りたいさ!!でもなんで君が知って…」(遮られる。)

少女「彼女だよ。」

正仁「へ?」

少女「彼女が君の情報をアイツ等に売ってたんだよ。」

正仁「な、何で…!?そんなはずない!だって、彼女は…!」

少女「優しいからって?あはははは!!!」

正仁「何がおかしいんだよ!!彼女のわけないじゃないか!!」

少女「あはははは…!!本当に何も知ろうとしなかったんだねぇ。
    彼女は優しいアイドルなんかじゃないよ?
    優しいアイドルの皮を被った醜い人間だ。」

正仁「何言って…そんなわけな」

少女「教えてあげるよ。体育館裏に逃げた時も、倉庫に逃げた時も、早退までしてサボった時も、
    気味悪がられてる理科準備室に逃げ込んだ時も。
    全部全部全部ぜーーーーんぶ、彼女が調べて情報を売ってたんだよ!!!」

正仁「嘘だ!!そんなの嘘だ!!君だ、君が売ってたんだ!!
    こんなの知ってるのはやった本人しか知らないはずだ!!
    僕は騙されないぞ…!
    はははっ!こんな僕にバレて悔しいだろ!?ざまぁみろ!!!」

少女「あーあー、可愛そうに。好きな人に裏切られていた事実を受け入れられないなんて。
    ほら、彼女が来たよ。」

正仁「あ、明里ちゃん!聞いてよ、あの子が変なこと言って…。
    ねぇ、待ってよ!!何で無視するの!?(明里に触れようとする。)
    …………え……な、んで……今、確かに触れたはず…。」

少女「あーあ、可愛そうに。」

正仁「な……。」

少女「死んだことすら知らないなんてね。」

正仁「何言って…。」

少女「君はとっくに死んでるんだよ。」

正仁「何言ってんだよ…。僕は今から…。」

少女「今から死ぬはずだったって?あはは!!
    君は紛れもなく死んでるよ。3日前に。」

正仁「う、そだ…。だって…。」

少女「証拠に君は彼女に触れられなかった。」

正仁「………。」

少女「君の声は彼女に届いてなかった。」

正仁「…………。」

少女「君の姿は彼女には見えていなかった。」

正仁「あ……あ……。」

少女《あーあ。タイミング悪かったね。
    まぁ、お友達が来ても来なくても結果は変わんないね。》

正仁「ぼ、くは…死んで…。」

少女「やっと分かった?ついでに君の大好きな思い人、明里ちゃんの今から言う言葉も一緒に言ってあげる。」

正仁「や、めて……。」

少女「あーあー、何で死んじゃうかなぁ?
    まだまだ買いたいものいっぱいあったのにー。
    次のネタ探さなきゃなぁ…。
    あ、恨まないでよ?弔いだけはしてあげるから。」

正仁「やめろおおおおおおおお!!!」

少女「じゃあね。」

正仁「…………。」

少女「泣いてるの?」

正仁「なんで…。」

少女「何で生きてると思わせたのか?あはは!!
    そんなの…。面白いからだよ!!!」

正仁「なっ…!」

少女「人間って醜くて面白いんだよね~。
    死んでることを自覚してない人間は特に!
    だから生きてると思わせて…壊すのがだぁいすき!!あはははははは!!」

正仁「…っ……!何なんだよ…。お前はいったい何なんだよ!!!」

少女「あぁ、これは申し遅れました。
    私、マリーと申します。風間正仁様のお迎えに参りました者ですわ。」

正仁「お迎え…。」

少女「あなた方人間からはよく“死神”と呼ばれますわ。」

正仁「死神…そっか…。僕、ホントに死んだんだ…。
    ねぇ、マリー。早く僕をこんな汚い世界から連れてってよ。」

少女「その前に1つ。」

正仁「…?」

少女「死神からお迎えがあった魂は、1つだけ願いを叶えることができます。
    ただし、自分を生き返らせること、私達に関すること以外は。」

正仁「願い……それ以外なら何でも?」

少女「えぇ。」

正仁「……じゃあ、僕を苦しめた奴等全員に生き地獄を…。」

少女「んふふふふっ♪それを待ってたの!!!
    絶望には絶望を!!それこそ人間よ!!あははは!!」

正仁「生き地獄にさようなら…。死ぬまで苦しめ。」



(しばらく間。)



少女『 人間は本当に醜い。だから私はだぁいすき。
     絶望に堕ちた人間が醜く、醜い人間を絶望に堕とす。
     これほど楽しいものはないわぁ。
     あなたの前にも私達が現れるかもしれないね?
     もし私なら、最高の絶望を見せてね?あはははははは!! 』



【 夕暮れマリー End。 】



【罪人と妖狐-True End- 薔薇ver】

【 罪人と妖狐-True End- 薔薇ver 】

作者:花月姫梨


ジャンル:人狼、妖狐
場所:村
男女比:4人 2:0:2




蒼-アオイ- ♂
 幼い頃に行ってはならないお社に入ってしまい、
 処罰されそうになったが、御狐(みこ)様の許しで生かさせてもらっている。
 罰として月に1日しか外へ出れず、ほとんど家で過ごしていいる。


観月-ミヅキ- ♂
 狐を崇めている村で狐に愛された者、御狐(みこ)様としてみんなをまとめている。
 顔は見せないようにベールを被っている。


村人A 両
 村人A。ただの村人A。怒りやすい。チョイ役。


村人B 両
 村人B。ただの村人B。敬語キャラ。誠の親。


【メモ】

誠-マコト- ♂
 どこかに潜んでいる人狼に攫われた被害者。

罪人(つみびと)
御狐(みこ)

『』…ナレーション風に。
()…心の中での声。




蒼   :
観月  :
村人A :
村人B :






蒼 『 ごめんなさい…。ごめんなさい…。
    全部、全部……僕の所為だ…。ごめんなさい…。 』



―― 10年前。 ――



村人A「いたぞ!!お社の方だ!!」

村人B「まさか、お社に入ったのですか!?」

村人A「妖狐様の祠の扉が開いている!」

村人B「あぁ…何てことだ…妖狐様がお怒りに…!」

村人A「お前はとんでもない罪を犯した。子供だと言えど、許されぬことだ。」

村人B「その御魂を妖狐様に捧げて許しを請うのです。」

蒼   「…ぁ…ぁ……ごめ…ん…なさ…。」

村人A「さぁ、来なさい。今すぐに儀式の準備を…。」

観月 「お待ちなさい。」

蒼   「…ぇ…。」

村人B「み、ミヅキ様!?申し訳ございません!!
     この者が妖狐様の祠を開けてしまいました!!
     今すぐに妖狐様への儀式を…」

観月 「いいえ。儀式はやりません。今すぐにその者のお手を離しなさい。」

村人A「なっ!?ミヅキ様、それでは妖狐様への許しが…!!」

観月 「大丈夫です。その者はまだ私と歳が変わりません。
     妖狐様は、私に歳の近いその者を慈悲のお心でお許しになりました。」

村人B「し、しかし、この者を無常で許すわけには…!」

観月 「もちろん、その者には罰を与えます。
     18歳になるまで、外へ出ることは許しません。
     そうですね…月に1日のみ、外へ出ることを許しましょう。」

村人A「………ミヅキ様がおっしゃるのならば…。」

村人B「本当ならば許されぬ罪を妖狐様とミヅキ様の慈悲のお心でお許しになられました。
     その恩情に感謝することです。」

蒼   「ご、ごめんさい…もう、もうしません…よ、妖狐様、ミヅキ様…ありがとうございます…!!!」

観月 「あぁ、そんなに怯えなさんな。これで涙をお拭き。其方の名は何と申すのだ?」

蒼   「あ、アオイ…蒼、です…。」

観月 「蒼。良い名だ。皆の者、この者は妖狐様のお怒りに触れぬ様、
     私が責任を持って家まで送る。皆は帰るのだ。」

村人A「し、しかし…!」

村人B「ミヅキ様のご命令です。我々は帰りましょう。」

村人A「蒼。ミヅキ様に何かあればお前の御魂を持って償ってもらうからな。」

村人B「ミヅキ様、お気をつけてお送りお願い致します。」

観月 「………………皆行ったな…。さぁ、行こう、蒼。」

蒼   「は、はい…!ミヅキ様…!」

観月 「そんなに堅苦しくしなくても良い。僕は君の味方だ。」

蒼   「味方…です、か?ミヅキ様が…。」

観月 「あぁ。僕はどんな時があっても、蒼の味方だよ。」



―― 10年後。 ――



蒼   「…ん……。懐かしい、夢を見たな…。ミヅキ様…。」

蒼   『 あの時以来、僕はミヅキ様に会えていない。いや、会えないのだ。
      ミヅキ様はやすやすと僕達の前にお姿をお見せしないし、
      何より、僕はこの家から中々出ることができない…。
      あれから10年…僕は月に1日しか外へ出ることを許されていない。
      僕は禁忌を犯してしまったから…。いや…あの時僕は…。 』


村人B「誰か、誰かマコトを知りませんか!?息子が見当たらないのです!!」

村人A「何!?みんなを集めて探しに行かなければ…もしかしたら…。」

村人B「そんな…!人狼が…。考えたくなどないです!!マコトは生きているはずです!」

村人A「あぁ、そう信じて探そう。」


 ( 村人達が大勢を率いて去っていく。 )


蒼   「……………誠が…いなくなった…?」

蒼   (誠は、僕がまだ外で自由に遊べた時によく一緒に遊んでいた友達。
     いたずら好きで、月に1度の外出にもいつも付き合ってくれている。
     そんな誠が…、いなくなっただなんて…。)

蒼   「誰か…誰かいませんかっ!!ここから出してください!!
     僕にも誠を探させてください!!!お願いです!!誰かっ!!!
     だれ、か………。誠…。」

蒼   (罪人である僕を出す人なんかいるわけないのに……。
     誠は僕の為に色んな事をしてくれたのに…僕は…僕には…誠を助ける術がない…。)

蒼  「ごめん、誠…ごめんなさい…。」



―― 翌朝。 ――



蒼   (結局、1日が経っても、誠は見つからなかった。死体すら、何も…。)

蒼   「……誰?」

村人B「お前の所為だ…。」

蒼   「え…?」

村人B「お前の所為で誠は…息子がいなくなったんだ…。」

蒼   「何を言って…。」

村人B「誠は…お前と仲良くしていた所為で…妖狐様のお怒りに触れてしまったんだ…。
     だから妖狐様は、誠を御守りくださらなかったんだ…。」

蒼   「そんな…!」

村人A「そこで何をしているんだ?そこは、罪人(つみびと)の家だぞ?」

村人B「あぁ…何でもないですよ。」

村人A「そうか。いつまでも近くにいるとお前まで罪人になってしまう。行こう。」

村人B「……そうですね。…………疫病神め。」


 ( 村人Aの後を追う様に村人Bも去って行った。 )


蒼   「疫病神……そう、だな…。僕は、疫病神だ…。」



―― 翌朝。 ――



村人A「…キ様が……。」

村人B「…こ様がお怒りに…。」

蒼   「ん……どうしたんだろう…?」


蒼   『 僕は、村の騒がしさに目を覚ました。
      ぼんやりとする眠たい頭を働かそうと、村人達の声に耳を澄ました。 』


村人A「まさか、ミヅキ様が人狼に殺されただなんて…もう、この村は終わりだ…!」

村人B「あぁ…神様…妖狐様!!どうか我々を御守り下さいませ!!」

蒼   「ミヅキ様が…ころ、された…?人狼に…?うそ…そんな、まさか…!」

蒼   (ミヅキ様が死んだなんて…。
     妖狐様の加護が有られるミヅキ様が…人食いに………殺された?
     なんで、なんで、なんで!?それじゃあ、この村は人狼に食べられてしまう…!
     どうしたら…。どうしたらいいんだ…誠…ミヅキ様…!!!)



―― 翌朝。 ――



蒼   『 翌日。 』


村人A「…今朝、長老が……お社付近で死体として発見されたらしい…。」


蒼   『 そのまた翌日。 』


村人B「今度は向かいの人が…。」


蒼   『 そのまた翌日、翌日、翌日、翌日、翌日、翌日も………人狼による捕食、
      村人達の死体が発見された。
      占い師の婆様(ばばさま)も、人狼を当てられないまま、人狼に食べられてしまった。
      きっと、もうおしまいなんだ。この村も、みんなも……僕も…。 』



―― 最終日。 ――



村人B「疫病神……、いや、蒼。今まで申し訳ないことをしました…。
     誠は、私達大人よりも正しいことをしていたのですね…。」

蒼   「え…?息が荒い…?もしかして、人狼にケガを…!?」

村人B「……もう、この村には、私と蒼、お前しかいない…。いや、もう1人……。
     私達は最初から妖狐様に見捨てられていたんだ…。」

蒼   「な、何を言っているんですか…!?妖狐様が僕達を見捨てるわけ…。」

村人B「よく聞きなさい、蒼。今日でお前は18歳になる。もう、貴方は自由になれるのです。
     北西の方角…の…畳の裏に、隠し通路があります…。そこから逃げるのです。」

蒼   「僕1人で逃げられません!一緒に…!!」

村人B「いいから逃げなさい!!!これは、私と…誠…それに、皆の、望みです。」

蒼   「………!!」


蒼   『 望み。それを聞いて、僕は急いで北西の方角にある畳の裏を見た。
      小柄な男性までなら入れる引き戸があり、その先には小さな通り道がありました。
      僕は直ぐに入ろうと片足を入れた途端、壁に飾ってある父さんの形見を持った。 』


蒼   「父さん、母さん、見守っていて。」


蒼   『 形見を強く握りしめ、隠し通路へと入った。
      入口は一応畳が元に戻るように設置して閉めておいた。
      上手くいっているかは分からないけど、時間稼ぎにはなるだろう、と。 』


蒼   「………あ、光…?よかった!これで出られる!!」



 ( 蒼を逃がした村人Bの視点へいく。 )



村人B(行った…ようですね……。よかった…。これで、誠にも顔向けができますね…。
     蒼、貴方は生きてください…。)

村人B「…往生際が悪いですね……人狼…いえ、ミヅキ様…?」

観月 「往生際が悪いのはお前もだろう?俺が負わせた傷を持ちながらも、立っているのだからな。
     さぁ、そこを退け。」

村人B「いいえ…それはできませんね…。それよりも、私は貴方にお聞きしたことがあるんですよ…。」

観月 「何だ?あぁ、もしかして、お前の息子の事か?」

村人B「えぇ、そうです。息子は…誠は、貴方が殺したんですか?わざわざ、ミヅキ様だと偽らせて…。」

観月 「あぁ、そうだ。アイツは俺の蒼を貶めた。あの時からずっと、この機会を待っていた。」

村人B「誠が、蒼を貶めた?いったい何を言っているんですか…?」

観月 「はっ、話してやろう。きっと中にいる蒼も記憶に残っているだろうからな?」



―― 観月の回想。10年前。 ――




観月 『10年前のあの日。御狐(みこ)である俺は、いつもの様に部屋から外で遊ぶ子供達を眺めていた。
     妖狐様の子供、御狐(みこ)様として崇められている俺は、普通の子の様に外で元気に遊びまわる事ができない。
     自分とあまり歳の変わらない子達が楽しそうに遊んでいる。
     それがとても羨ましくて、いつも見ていた。
     遊んでいる子供達の中で、俺は、ある1人の男の子に目が行った。それが蒼だった。
     女の子の中で2人だけ男の子で、でも、蒼は女の子のように可愛くて、今日はかくれんぼの鬼の様だった。
     1人、また1人と見つけて行く蒼。日が暮れた頃になると、最後の1人以外は帰っていた。
     それでも、最後の1人を見つけるまで、諦めずに探していた蒼に、俺はもっと蒼に魅かれていった。 』


蒼   「まーこーとー!!どこにいるのー?おじさんとおばさんが帰ってきなさいって言ってるよー!!」

観月 「あの子…まだ探してるんだ?もう、暗くなってきているのに…。」

蒼   「まーこーとー!!!出てきてよー!!」

観月 「あ、そっちの方は妖狐様のお社…!中へ入ったら大変だ!使いの者は皆出払っているし…。
     僕は御狐(みこ)様だから外へ出てはいけないし…。どうしよう…。」


観月 『 そうしている間にも、蒼はどんどんとお社の方へ向かって行く。
      そこでふと、俺は思ったのだ。 』


観月 「もし、あの子がお社に入ったら…。みんなに殺される…。
     でも、御狐(みこ)様である僕が許せば…軽い罪で済ませれるかもしれない…?」

観月 (そうだ、あの子を僕と同じ様に閉じ込めてしまおう。あの子が僕以外のモノになる前に…。)


観月 『 我ながら10歳にしては冴えていると思った。蒼を閉じ込めて、18歳になったら迎えに行こう、と。 』

蒼   「まーこーとー!!……はぁ、どこに隠れたんだよぉ…。あれ?あそこが開いてる?」

観月 『 お社に近づいていく蒼。そう、そのまま、そこへ…。 』

蒼   「ここって…妖狐様のお社?でも、入っちゃダメって…。
     もしかして、誠、ここに入っちゃったのかな…。どうしよう…。」

観月 「そこへ入るんだ。」

蒼   「もし、誠が入ってるなら早く出させないと…。
     まことー?いたら返事してー!まことー!いないのー?」

村人A「いたぞ!!お社の方だ!!」

村人B「まさか、お社に入ったのですか!?」

村人A「妖狐様の祠の扉が開いている!」

村人B「あぁ…何てことだ…妖狐様がお怒りに…!」

観月 (あぁ、これで…。)

村人A「お前はとんでもない罪を犯した。子供だと言えど、許されぬことだ。」

観月 (これで、あの子は僕の…。)

村人B「その御魂を妖狐様に捧げて許しを請うのです。」

蒼   「…ぁ…ぁ……ごめ…ん…なさ…。」

村人A「さぁ、来なさい。今すぐに儀式の準備を…。」

観月 (僕のモノ。)

観月 「お待ちなさい。」

蒼   「…ぇ…。」


観月 『 お社へと入った俺の眼には、蒼と、村人の2人。
      そして、暗くて見えなかったが、奥の片隅で今まで寝ていたであろう、誠が怯えた顔で隠れていた。 』


村人B「み、ミヅキ様!?申し訳ございません!!
     この者が妖狐様の祠を開けてしまいました!!
     今すぐに妖狐様への儀式を…」

観月 「いいえ。儀式はやりません。今すぐにその者のお手を離しなさい。」

村人A「なっ!?ミヅキ様、それでは妖狐様への許しが…!!」

観月 「大丈夫です。その者はまだ私と歳が変わりません。
     妖狐様は、私に歳の近いその者を慈悲のお心でお許しになりました。」

村人B「し、しかし、この者を無常で許すわけには…!」

観月 「もちろん、その者には罰を与えます。
     18歳になるまで、外へ出ることは許しません。
     そうですね…月に1日のみ、外へ出ることを許しましょう。」

村人A「………ミヅキ様がおっしゃるのならば…。」

観月 (馬鹿な村人達。)

村人B「本当ならば許されぬ罪を妖狐様とミヅキ様の慈悲のお心でお許しになりました。」
     その恩情に感謝することです。」

蒼   「ご、ごめんさい…もう、もうしません…よ、妖狐様、ミヅキ様…ありがとうございます…!!!」

観月 (可愛いな…こんなに怯えて…。)

観月 「あぁ、そんなに怯えなさんな。これで涙をお拭き。其方の名は何と申すのだ?」

蒼   「あ、アオイ…蒼、です…。」

観月 「蒼。良い名だ。皆の者、この者は妖狐様のお怒りに触れぬ様、
     私が責任を持って家まで送る。皆は帰るのだ。」

村人A「し、しかし…!」

村人B「ミヅキ様のご命令です。我々は帰りましょう。」

村人A「蒼。ミヅキ様に何かあればお前の御魂を持って償ってもらうからな。」

村人B「ミヅキ様、お気をつけてお送りお願い致します。」

観月 「………………皆行ったな…。さぁ、行こう、蒼。」

蒼   「は、はい…!ミヅキ様…!」

観月 「そんなに堅苦しくしなくても良い。僕は君の味方だよ。」

蒼   「味方…です、か?ミヅキ様が…。」

観月 「えぇ。僕はどんな時があっても、蒼の味方だよ。」

観月 (可愛い、可愛い、僕の蒼。僕のモノだ。僕だけが、蒼の味方。)

観月 『 お前の所為で蒼はこうなったのだと、俺は、奥の片隅で隠れている誠を睨み付け、
      そして、これで蒼は私のモノになるのだと、笑ってっやった。 』



―― 観月の回想終了。10年後。 ――



観月 「そして、現在(いま)俺は、蒼を迎えに来た。
     10年の時を経て、蒼を本当の意味で俺のモノにするために。」

村人B「誠が、祠の扉を開けてしまったのですか…!?蒼ではなく…誠が…。」

観月 「あぁ、そうだ。お前の息子は祠の扉を開けてしまった。
     そして、祠に閉じ込められていた妖狐様はこの世から消え去った!
     妖狐の子として生まれた俺以外は、な?」

村人B「……!例え、誠が罪を犯していたとしても、妖狐様がいなくなったとしても、
     尚更私は、ここを退くわけには行けませんね。
     この身が滅ぶまで…いえ、この御魂が消滅しても、蒼を守ります。
     村が滅んでも、蒼だけは生きて…自由に生きてもらいます。
     貴方の呪縛から解き放させます!!」

観月 「ただの人のお前に、俺に敵うはずがないだろう。
     俺達の邪魔はさせない!!くたばれ!!はぁああっ!!!」


 ( 観月は狐の様に鋭く尖らせた爪を村人Bの心臓に目掛けて突き刺す。 )


村人B『 私はこの時、ミヅキ様に心臓を貫かれ、この命の鼓動が止まるのだと思いました。
      しかし、その時、村中を響き渡るほどの大きな音が鳴り響きました。 』


(―― バンッ!!! ――)


村人B『 その音と共に、小さな呻き声が聞こえ、私の心臓に目掛けていた筈のミヅキ様の尖らせた手が止まり、
      次第にミヅキ様の胸の辺りが赤く滲み、小さな口元からはツーッと赤い液体が漏れていた。 』


観月 「…ぁ…う゛……なぜ、だ……。ごふっ!!!」


村人B『 ミヅキ様は口から血を吐き、崩れる様に倒れました。 』


観月 「…な…ぜ……あお…い……!!」


村人B『 ミヅキ様の言葉に、私はミヅキ様へと向けて見下ろしていた視線を前へと向けた。
      そこには、ボロボロになりながらも、しっかりと猟銃を構えている蒼の姿があった。 』


村人B「蒼…何故、何故逃げなかったのですか!?
     あのまま逃げていれば、貴方はその手を汚さず済んでいたのに!!」

蒼   「嫌だ!!1人でだなんて……傷ついてまで僕を逃がしてくれた人を、置いて逃げるだなんて嫌だ!!
     それに、僕はミヅキ様が許せないんです…。」

観月 「蒼…俺はお前を愛、して…!」

蒼   「そんなの知りません。全部、全部聞いたんです。死んだ、誠から…。」

村人B「誠、から…?」

観月 「そんな筈は、ない!アイツは、アイツは俺が殺した…!
     確かに、この手で、殺したはずっ…ごふっ!ごほっごほっ!」

蒼   「誠だけじゃない…。僕を忌み嫌っていた、お前に殺された村のみんなから!!」

村人B「まさか、霊能力を持って…?」

蒼   「だから、僕はお前を許さない。ミヅキ様。」


村人B『 その時の蒼の表情、声色は、身の毛がよだつ程でした。
      猟銃を持って、ゆっくりと近づいて来る蒼。
      その足は、ミヅキ様が倒れている側で止まり、手に持っていた猟銃っをミヅキ様の頭へと向けた。 』

観月 「ま、って……まって、あおい……おれ、は」


(―― バンッ!!! ――)


蒼   「さようなら、ミヅキ様。」



村人B『 ミヅキ様の最後の言葉を聞かず、容赦なく撃った蒼。
      吹き飛ぶミヅキ様の頭と、飛び散った返り血に掛かる私と蒼。
      その時の蒼の表情は……泣きながら、笑っていた。 』



―― 少しの間。 ――



村人B『 どれくらいが経ったのだろう…。いや、実際にはほんの数秒のはずが、
      何十秒も、何分も経ったように感じられました。
      そして、、緊張の糸が解れたのか、又は、ミヅキ様を殺してしまった罪の意識からか、
      蒼はぽろぽろと涙を零し始め、泣き崩れました。 』


蒼   「ごめんなさい…。ごめんなさい…。
     全部、全部……僕の所為だ…。ごめんなさい…。」


村人B『 そう言って流れる涙を拭おうとせず、地面を掴む様に拳を作り、
      まるで、水溜まりを作る様な勢いで涙を落としていく蒼に、
      私はミヅキ様の屍を超えて、抱きしめた。 』


村人B「大丈夫、大丈夫です。みんな怒ってなどいません。
     全ては醜く歪んでしまったミヅキ様の恋心が元凶です。
     貴方は巻き込まれてしまっただけです。貴方の所為ではありません。」

蒼   「でも、でもっ!僕の所為で、誠は、村のみんなが殺されてっ!」

村人B「貴方の目に映るみんなの姿をよく見てください。
     私にはその姿が見えませんが、きっと、許しているはずです。
     いや、申し訳ない表情をしているでしょう。」

蒼   「……みん、なぁ……。」

村人B「私も…そろそろそちらに行く頃、ですね…。」

蒼   「え…?血が!もしかして、さっきやられた傷が!?
     早く手当てしないと…!」

村人B「いいえ、このままでいいのです…。」

蒼   「何を言ってるんですか!?このままにしたら死んでしまいます!」

村人B「それで、いいのです…。きっと、誠達が待っている…。」

蒼   「嫌だ!死んじゃ駄目です!!僕を…僕を一人にしないでください!!」


村人B『 いつまでも泣く蒼の頬に、もう殆ど力の出ない手で涙を拭う。 』


村人B「あぁ、泣かないで、蒼…。貴方はきっと、強くなります…。
     強く、優しく、生きてくだ………。」


 (頬を触れていた村人Bの手がパタリと落ちる。)


蒼   「あ…ぁ……。起きて、くださ……。いやだ…やだ……
     あああああああああああああああああああ!!!」



―― 数年後。 ――



蒼   『 あれから僕は旅に出た。
      人狼が出ると言われている街や村を転々と渡り歩き、人狼を倒してきた。
      旅人である僕を疑う者も少なくはなかったが、最後には人狼を見つけ、
      父さんの形見であるこの猟銃で撃ってきた。
      小さい頃の記憶にある、狩人だった父さんの構え方や、教えてくれたことを、
      探り探りで思い出しながらやってきたが、段々と自然と上達していった。
      きっと、父さんの狩人の血のおかげかもしれないな。
      でも、僕は罪人だから、密猟者なのかもな?まぁ、いいや。
      あぁ、次の人狼はどこの村にいるのだろう…。 』





【 罪人と妖狐-True End- 薔薇ver End。】